「女房と畳は新しい方が良い」
これは、古くからある日本のことわざです。意味は、何でも新しい方が良いというたとえ だそうです。
日本人は昔から新しいものに価値を感じていたようですね。マンション業界でも、「新築神話」や「新築プレミアム」といった言葉があり、中古より新築に重きをおいています。
一般の方(マンションの買い手)も、「どうせ買うなら、やっぱり新築」と考える方が多いようです。
そして、マンション分譲の大手7社による新築マンションのポータルサイト「MAJOR7」の調査によると、マンションの購入検討理由も「資産を持ちたい・資産として有利だと思ったから」が第1位になっています。
つまり、新築マンション=資産価値が高い と考えている方が多いのです。しかし、本当にそうなのでしょうか?
新築マンション=資産価値が高い、は間違い
残念ながら、「新築マンション=資産価値が高い」というのは間違いなのです。
確かに誰も住んだことのないマンションは、設備も最新、内装もまっさらで美しく気持ちが良いものです。
しかし、資産価値は、感覚的に測るものではなく、客観的に金額に換算して測るものです。
資産価値は購入時の価格ではなく、売った時の価格
資産価値は客観的に金額に換算して測るものというと、よくある勘違いに「購入価格=資産価値」と考える方がいらっしゃいます。高い価格の新築マンションを購入したから資産価値も高いという図式です。
残念ながら、これも間違いです。
新築マンションも、あなたが住み続けていくと減価していきます。いつまでも購入した時の価格を維持できません。資産価値とは、将来(いざとなったら)売った時の価格で測るものです。
新築時からの価格推移
それでは、具体的に新築マンションが新築時からどのような価格推移をたどるのか、データで見ていきましょう。
これは、不動産の様々な動向を調査している「東京カンテイ」のデータです。
上記データから、三大都市圏の平均下落率を計算してみると、
築年数 | 三大都市圏平均下落率 |
築1年 | −10% |
築5年 | −26% |
築10年 | −38% |
築15年 | −48% |
築20年 | ー58% |
築30年 | −59% |
築40年 | −64% |
となります。
つまり、新築マンションは、購入したとたんに1割下落し、5年後には約3割下落、10年後に約4割下落、15年後に約5割下落、20年後は約6割下落し、その後はほぼ横ばいとなります。
たとえば、あなたが新築マンションを4000万円で購入したとすると、
5年後は2800万円、10年後は2400万円、15年後は2000万円、20年後は1600万円、30年後・40年後もほぼ1600万円の価値になるということです。
資産価値を考えるのであれば中古マンションの方がいい
これに対して、もしあなたが築15年のマンションを2000万円で購入したとすると、5年後は1600万円、10年後、20年後もほぼ1600万円の価値になります。
購入した時の価格と売却した時の価格の差を考えると、中古マンションの方がお得だと思いませんか?
このように、購入した時の価格と売却した時の価格の差が少ないことを、リセールバリューが高いといいます。リセールバリューを考えると中古マンションの方が資産価値が高いと言えるのではないでしょうか。
ちなみに、資産家の方が高級車や高級腕時計を購入されるのは、ステイタスだけでなく、このリセールバリューを考慮しているからだといわれています。
あまりおススメしない新築マンションが多いわけ
しかも、最近の新築マンションはあまりオススメできない物件が多くなっています。
マンションの価値は、立地条件と建物グレードによって決まります。
立地条件とは、最寄り駅までの距離などの交通利便性、生活利便性、住環境・周辺環境、治安や防災などの安全性の総合的なものをいいます。
都市型住宅であるマンションでは、特に交通利便性が重要視されますが、最近の新築マンションでは最寄り駅から徒歩10分以上かかる物件もザラにあります。
これは、土地は再生産ができませんので良い立地にはすでに中古マンションが建っていることが多いことに加えて、最近はオフィスやホテル需要がおおせいなため良い立地の土地がでてきても取られてしまうからです。
また、建物のグレードは、使われている素材、内装仕上げ、住宅設備、専有面積(広さ)などによって決まります。最近の新築マンションでは、土地の高騰、建築費の高騰による分譲価格の高騰をできるだけ押さえるために、密かにグレードダウンをしています。
具体的には、専有面積を狭くしたり、二重天井をやめて梁が張り出していたり、二重床を採用しない仕上げにしたりしているのです。
以上のようなことは、図面とモデルルームで販売するので一般の方には分かりづらいです。
しかし、中古マンションになった時には、周辺のグレードの高いマンションに比べられてしまいますので競争力は弱くなってしまいます。
メリット・デメリットを正しく理解して判断を
いかがでしたでしょうか。意外にも新築マンションには大きなデメリットがあったことがご理解いただけましたでしょうか?
もちろん、新築マンションなりのメリットもあります。
以下に、メリット・デメリットをまとめておきますので、正しく理解して判断してください。
メリット | デメリット |
新築へ入居する気持ち良さ | 価格が高い |
階数や間取りのバリエーションが豊富 | 購入後の価格下落幅が大きい |
室内設備のオプション選択肢がある | 立地条件が良くない物件が多い |
駐輪場・駐車場を確保しやすい | 建物のグレードダウンした物件が増えた |
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