近年は新築住宅だけでなく、中古住宅も検討される方が府中市でも増えてきています。その中でも特に浅築の中古住宅は人気が高く、売りに出ても比較的早いスピードで売れていきます。
それはきっと中古住宅といえども、比較的年数が経っておらず今の建築基準で建てられているので安心感があるというのもひとつの理由としてあるのではないでしょうか。しかし、そんな浅築の中古住宅であってもぜひ気を付けたいポイントがあります。
そこでこの記事では、中古住宅でも特に浅築とよばれる物件にポイントを絞って、その注意点などをお伝えしていきます。
浅築は何年まで?
新築であれば明確な基準があり、建築後1年以内までが「新築」と名乗っていいことになっています。建築後まだ売れていなくても、未入居の状態であっても1年を超えてしまうと「新築」ではなく「中古」となります。
よく「中古住宅を買いたいのだけど、なるべくなら浅築がいいわ」なんてご希望を聞きます。こんな時に“浅築”という言葉を使うのですが、だいたい建築後どの程度までを浅築というのでしょうか?
結論から言いますと、新築とは違い浅築には明確な基準はありません。ただ、建築後1年なら間違いなく浅築でしょうし、建築後20年ならばどう考えても浅築ではないでしょう。つまり、この間のどこに線を引くかとなるわけです。私個人の感覚ですが、10年以内ならば浅築と捉えています。
最近は古い住宅のストックがどんどん増えている状況ですが、このように築40年、50年といった物件が増えてきている現状を考えると、10年というのは比較的浅築と言って良いのではないでしょうか。
浅築と言っても油断は禁物
中古住宅の中でも比較的安心感があることが人気の理由ですが、浅築だからと言ってすべてが安心というわけではありません。その理由をこれから説明していきます。
新築時から欠陥を抱えているケースもある
建築年数が浅ければ浅いほど良いというのは、一般的な話としては間違ってはいません。新しい方が故障も少ないと考えられますし、すべてにおいて劣化が進んでいないと考えられるからです。しかし、ここに大きな落とし穴が一つあります。
築1年の物件で外観も綺麗な住宅があったとしましょう。ところが、新築時から何らかの大きな問題を抱えた家だとしたら、話は根底から変わってきますよね。
なぜ新築でこのような欠陥が起こるのか?それは住宅業界のある事情を説明していくと理解が出来ると思います。
実は多くのハウスメーカー、分譲業者では、一人の現場監督が複数の現場を管理していて、中には20~30近い現場を管理しているなんて状態もあるくらい、現場監督の人数が足りていません。
一人の現場監督がいくら頑張ったところで、管理する現場が多ければ管理しきれません。現場の職人によっては手抜きやミスがあったとしても、気づかずに完成されてしまうのです。
また新築では、よく「完了検査」という言葉を聞きますが、これはしっかり施工が出来ているかを確認するのではなく、建築計画通りに建てられているかどうかを確認するものであって、完了検査に通ったからといって欠陥住宅ではないという証明にはならないので気を付けてください。
実際に私も新築住宅でもインスペクションと呼ばれる住宅検査をすることがありますが、現場ごとに差があると実感しています。まったく問題のない物件もあれば、問題だらけな物件ということもあります。
大手ハウスメーカーなどの建築物件ではあまり考えられませんが、可能性としてはゼロとは言い切れません。なにせ家を建てているのは人間です。故意かどうか関係なくミスをしてしまうのも人間の性です。
信頼できる業者の建築案件でも、建築途中に来襲した台風の影響で木材がずぶ濡れになり、その影響が壁体内に出ているかもしれません。肝心なのは浅築物件であっても“基本的には疑ってかかる”ことです。中古住宅に限らず住宅全般に言えますが、性悪説で臨んだ方がいいかもしれないですね。
売却理由
普通であれば住宅を購入して、浅築と言われる状態で売りに出すので、何かネガティブな売却理由がないかを疑っていましょう。よほどのことがない限り買ってそんなに時間が経っていないのに売るということ自体、何か理由がないか気になりますよね。
転勤や実家へ戻るなど、正当な理由であれば特に問題はありませんが、ご近所に変な人がいて困っているとか、実際に住んでみて住みにくかったなど、ネガティブな売却理由が無いかしっかり確認しましょう。
理由の中で特に深刻な問題であれば(事件・事故や近隣トラブルなど)など購入にあたって影響を与える事項については告知義務がありますが、そこまでのほどではないが引っ越したい理由が無いかしっかし確認するようにしてください。
災害リスク
災害リスクは、浅築の中古住宅にかかわらず関係してくる問題です。とくに最近の日本は災害大国化に拍車がかかってきていますし、都内ではゲリラ豪雨被害が深刻になってきています。
いくら建物が新しくても、土地そのものの災害リスクが高い立地であれば、よほどの理由がない限り、災害リスクの高い立地を選ぶ合理的な理由はありません。
災害の観点から言えば、事前のチェックポイントは川と崖。2大チェックポイントです。府中市では特に多摩川に近いエリアの災害リスクが高いとされています。
もっともポピュラーな対応策は、行政のハザードマップの確認。これは府中市のホームページで簡単に手に入りますので、目ぼしい中古物件を見つけたらすぐに照らし合わせてください。
たとえば、多摩川に近いエリアでは全体的に水害リスクが高くなっていますが、中には洪水時に最大で浸水が10mに達するところもあります。これは2階建ての住宅であれば屋根まですっぽり水没してしまう水位です。
ただ、どこで線引きをするかは難しいものがあります。完全な安全ゾーンであれば万々歳ですが「水害の危険エリアに少しだけかかっているよな・・・」という微妙なケースでは、ご自身に判断してもらうしかありません。
出来れば災害リスクが高い立地は避けたいところですが、致し方ない場合でも、危険ゾーンに入っているけど、避難レベルの3が出たら必ず家族全員で退避するなどのルールを決めて対処するなどが必要です。
府中市では立地適正化計画にも気を付ける
府中市で中古住宅を探す際に、絶対に見落としてはならないポイントがあります。2019年~2050年の計画で、府中市では立地適正化計画を策定し推進する予定です。
立地適正化計画とは、国が2014年に制定した都市再生特別措置法という法律が根拠となっていて、日本全国の自治体でこの立地適正化計画が推進されています。
これは日本が抱える喫緊の課題である人口減少が起因しているもので、人口が減れば自治体の税収は減っていきます。ただ自治体としてはそれでも公共サービスを提供していかなければいけません。
しかし今のように住宅地が散らばっていると効率的な行政が出来ず、減少する税収で賄えきれなくなってくる恐れがあります。そこで立地適正化計画では以下の2つの区域とそれ以外の区域に分けて、行政の効率化を目指しています。
①都市機能誘導区域
福祉、医療、商業等の都市機能を中心拠点や生活拠点に誘導、集約し、サービスの効率的な提供を図る区域
②居住誘導区域
人口密度を維持し、生活サービスやコミュニティーが持続的に確保されるよう居住を誘導すべき区域
この2つを見てもわかるように、市内に歯抜け状態で人が住むのを避けるために、商業施設などを集約し、市民が住む場所も一定の場所に誘導して人口密度を調整しようとしているのです。
府中市は多摩エリアでも人気が高く、人口減少予測も比較的楽観的な街です。そんな府中市でも立地適正化計画は策定されていて、上記のどちらにも当てはまらない区域が存在しています。
これは府中市に限らず全国の自治体で起こっていることですので、ぜひ覚えておいてください。
上記の2つの区域に収まっていればいいのですが、どれにも当てはまらない区域では、今後人口減少が進むとその地域の人口密度が当然減少します。すると、これまでは1日20便あった府中コミュニティーバスを10便に減便しようとか、場合によっては路線廃止も考えられます。
「住民サービス低下は許さん!」といくら気勢を上げても、府中市としては税収も減りますので、無い袖は振れない状態に追い込まれてしまい住民の声を聴きたくても聴けなくなります。
そのために、立地適正化計画を策定して市民への行政サービスが低下しないように「できれば〇〇の周辺に住んでください」「△△の地域ならば便利に住めますよ」と呼び掛けているわけです。
築10年でもインスペクションは必須
中古住宅のストックが加速度的に増えているのが日本の現状なのです。物件が増大すれば価格が落ちるのが経済の法則ですが、やはり価値ある中古住宅を探し出さなくてなりません。
ここまでいろいろと書いてきましたが、結論としては築10年の浅築物件でもインスペクションは必須となります。
インスペクションとは建築の知識のある人が、建物を客観的な第三者の立場で検査するものです。最近はかなり知られた存在になってきたのですが、今後はインスペクションをするのが中古住宅売買におけるスタンダードになるのは間違いないでしょう。
あなたが中古住宅を購入するとき気に入った物件があれば、仲介業者に迷わず「この物件はインスペクション済みですか?」と確認してください。 もし、検査済みであればその内容を詳細に聞けばいいのですが、インスペクション未実施であれば、インスペクションを要求してもいいと思います。
その場合の費用は買主負担となることが多いですが、本当に気に入った物件であれば、自腹を切ってでもインスペクションをするべきでしょう。費用としては10万円ほどですが、欠陥住宅を買って後悔するリスクを回避でき、また事前に修繕費用を含めた交渉ができるようになるなど、大きな買い物だからこそメリットは非常に大きいと思います。
取り扱い難易度が高い中古住宅は経験豊富な担当者から
中古住宅はマンションや新築住宅と比べて取り扱い難易度が高い物件種別と言われています。浅築と言われる築10年程度の中古住宅でもこれだけ気を付けることがあるくらいなので、浅築だけでなく中古住宅全般をターゲットにするのであれば尚更です。
中古住宅は個別性が強く、営業担当者に経験やスキル、建築の知識や税制の知識など幅広い能力が求められます。
プロではない一般の方がこれらのことすべてに気を付けて中古住宅を選んでいくことは、やはりハードルが高く不安を感じることが多いかと思います。ですから、住宅購入のパートナーとなる営業担当者はしっかり選んで、後悔のない納得のいく物件探しをしていただければと思います。
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