住宅ローンを申し込む際に行う仮審査ですが、そもそも仮審査とはどういった審査なのでしょうか。
「仮審査って何を審査するの?」
「本審査とは何が違うの?」
このように仮審査と本審査の違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
仮審査と本審査はそもそも審査する機関が違うため、審査するポイントも変わってきます。
こちらでは仮審査とは何なのか、そして本審査との違いを中心に解説していきます。
売買契約まえに行う仮審査
住宅ローンの仮審査を行うタイミングは、売買契約前に行うのが一般的です。
「契約が終わったあとではないの?」
「なんで契約前に行う必要があるの?」
仮審査のタイミングがなぜ契約前なのか、それは確実に、安全に契約を進めていくためです。
例えば仮審査を売買契約後に行うと、もし承認が下りない場合、慌てて違う金融機関で審査を行うことになってしまいます。
しかし仮審査が下りていれば、本審査に通過する可能性は極めて高くなります。
もちろん本審査で否決される可能性もありますが、その確率は低いです。
安全かつあわてずに契約を進めていくためにも、売買契約前に仮審査をしておくほうがいいでしょう。
仮審査と本審査の違い
仮審査と本審査では、いったいどのような違いがあるのでしょうか。
- 仮審査は銀行窓口によって行われる
- 本審査は保証協会が審査を行う
仮審査と本審査ではそもそも審査する機関が違います。
審査は全て銀行が行うのではなく、銀行が行うのは事前審査に関わる簡易的な審査のみなのです。実際の本審査は保証協会が行います。
保証協会とは簡単にいうと、住宅ローンの借主が返済できなくなった場合に、銀行に対して代わりに住宅ローン支払いを保証してくれる機関です。
住宅ローン借入時に支払う保証料とは、この費用のことを指しています。
もちろん、保証協会はその後借主に対して支払いを請求するので、返済できなくなったからといって債務が全部なくなるわけではありませんので、注意が必要です。
仮審査で落ちるケース
仮審査で落ちるケースには、様々な原因があります。
銀行は将来に渡って安全な返済ができるかどうか、を判断基準としていますので、それに該当しない場合は仮審査の時点で落ちてしまうことになります。
では仮審査で承認が下りなかった場合、どのようなケースが考えられるのでしょうか。
信用情報に遅滞歴などがある場合
銀行側が審査する項目の中に、借主の信用情報についての審査があります。
信用情報とは簡単にいうとクレジットカードや他の借入返済が期日通りに行われているか、という部分を示しています。
クレジットカードや引き落としを延滞したことがある、返済せずに放置したことがある等、延滞や遅滞歴がある場合、銀行から信用がないと判断されてしまいます。
信用がないと、将来的な返済にも懸念が生じるため、銀行側も承認ができないのです。
消費者金融から借り入れがある
お金が必要で、過去に消費者金融から借入したことがある場合も、仮審査で落ちる場合があります。
消費者金融から借入している人は、銀行側から返済能力がないとみなされてしまいます。
また、現在の借入額、返済額と申し込みしようとしている住宅ローンの返済額を合わせて、返済比率の基準にかけられてしまいます。
返済比率とは年間の借入返済額と年収の割合を示す比率ですが、消費者金融からの高い利息での返済があると、この基準を超えてしまう可能性が高くなってしまうのです。
そのため銀行側から仮審査時点で落とされてしまう場合があります。
各金融機関によって差がありますが、メガバンク等だと特に厳しくみられる傾向にあります。
返済比率ギリギリや自己資金を出さない
返済比率の基準には収まっているもののギリギリである場合や、自己資金が全くない場合も、仮審査では厳しくみられることがあります。
銀行は審査の基準として返済比率の上限を設けていますが、それに収まれば必ず審査に通るわけではありません。
預貯金の多い少ないは、審査にはほとんど影響しませんが、自己資金を出さない場合、対象物件の資産価値に対して借入額が多い場合は、貸す銀行にとってもリスクが高くなりますので、審査は厳しくなります。
ただし、この場合は否決になるよりも減額回答の方が多いです。
勤続年数が短い
転職したばかりなどで勤続年数が短い人も、銀行から厳しくみられます。
なぜなら勤続年数が長ければ、昇格や昇給等が見込め、将来的な返済能力があるとみなされるからです。
各金融機関によって勤続年数の規定は変わるため、申し込む金融機関の規定にあらかじめ該当しているかを確認しておくことが大切です。
国土交通省の調査によると、全国の金融機関のうち半数以上の金融機関が勤続1年以上あれば審査対象としています。
また、1年未満でもフラット35等であれば審査対象になりますので、勤続年数が短いとしても諦める必要はありません。
雇用形態
正社員ではなく、契約社員や派遣社員等の非正規社員の場合は、審査に落ちる可能性が高くなります。
その理由としては、将来的な収入の安定さに欠けるという点です。
契約社員や派遣社員の方で、正社員の方よりも給与をもらっている方はいます。
しかし雇用の継続性という部分では、不景気の際に真っ先に解雇の対象となるのが非正規社員です。
そういった面で、非正規社員の場合は審査が厳しくみられてしまいます。
ただしフラット35のような、人の属性よりも物件審査を重視する住宅ローンであれば審査に通過する可能性が高くなります。
歩合給の割合が高い
営業職等で、給与の大部分が歩合給の方も審査では落ちる可能性があります。
給与額としては多くの金額をもらっていたとしても、銀行側が審査するのはあくまで将来的な、安定性と継続性です。
歩合の場合は本人次第で給与が大きく下がることもあるので、安定性がないとみなされてしまうのです。
もちろんそもそもの固定給が高いのであれば、審査としては問題なく通過しますので、あくまで給与体系のバランス次第です。
不安がある方はフラット35の利用を検討する
勤続年数や雇用形態、給与形態等、不安がある方にはフラット35がおすすめです。
フラット35は人に対する審査はそこまで厳しくなく、幅広く受け入れている住宅ローンです。
しかしその分物件に対しての審査は厳しいので、フラット35の基準に該当する物件かどうかをあらかじめ見極めておく必要があります。
特に中古の場合は建築年数や耐震性、構造等様々な部分をチェックしなければならないので、不動産業者の担当者と一緒に物件をチェックするのがおすすめです。
本審査で落ちるケース
仮審査で通過すれば本審査で通過する可能性はかなり高いのですが、もちろん本審査でも落ちるケースはたくさんあります。
こちらではどのようなケースで、本審査を落ちてしまうのか、ケース別で詳しく解説していきます。
対象物件が融資対象外
本人の勤続年数や年収等ではなく、そもそも選んだ物件によって審査に落ちてしまうことがあります。
融資対象外となってしまう物件というのは、建築基準法に違反して建築されている違反建築の建物や、制度改定により違反となってしまった既存不適格の建物等があります。
知識の乏しい不動産会社だと、違反建築の建物であることを見ぬけずにそのまま販売している場合があります。
ふたを開けたら違反建築だったというケースは、全国的にも多くあり、事前に対象物件が融資対象になるかどうかを判断し見極める必要があります。
団体信用生命保険に加入できない
実は健康状態を理由に住宅ローン審査がおりないという方は、結構な割合でいます。
銀行の住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が必須のため、健康状態が悪い方はそれが理由で住宅ローンを組むことができないのです。
過去の通院履歴等も告知事項になるため、現在元気だとしても過去の病気等で審査にひっかかる人もいます。
ただし、団体信用生命保険に加入できない人にはフラット35で審査を進める方法があります。フラット35であれば団体信用生命保険への加入が任意のため、加入できなくても審査を進めることが可能なのです。
系列金融機関、信販会社などで信用情報に出てこないトラブル情報
メガバンク等の場合、多くの系列金融機関や系列の信販会社があります。そして信用情報にこそのらないようなトラブルでさえ、情報共有しているのです。
返済の遅延や延滞の履歴などが個人信用情報に残っていない場合でも、記載情報の詐称やその他のトラブル等が過去にある場合、そのことが審査に影響することもあります。
状況に合わせた住宅ローンの提案をしてくれる不動産会社を選ぼう
夢のマイホームを買うためには、多くの方が住宅ローンが必要になります。
住宅ローンを借りるためには、現在の状況をよく把握して、ご自身にあった金融機関選びをすることがとても重要になってきます。
そのためにも、まずは物件選びと同様に、金融知識と経験が豊富な不動産会社選びをするところからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考になったら「いいね」をお願いします。