あなたがマンションを買うなら、管理会社のことをどのくらい調べますか?
多くのマンションには管理会社がいますが、管理会社と管理組合の違いや管理会社の重要性について、あまりご存知ない方は多いです。
また、「管理会社は大手だと安心だ」と思われている方もいますが、それは誤りです。
マンションを買うのであれば、管理会社とはどんな存在なのか、どんな業務を行っているのか、なぜ管理会社を知ることが重要なのか理解しておかないと、買ってから後悔するかもしれません。
今回は、マンションにおける管理会社の役割・管理組合との違い・本当に良いマンションを選ぶためのポイントをご紹介します。
マンションは管理を見て買え
不動産業界や中古マンション市場でよくいわれるのが、「マンションは管理を見て買え」という言葉です。
多数の世帯が同じ屋根の下で暮らすマンションは、規模が大きい分しっかり管理や修繕などを行わないと、資産価値がどんどん下がり暮らしにくいマンションになってしまいます。
そのためにマンションの管理をしっかり行うことが重要なのですが、残念ながらきちんと管理がされておらず、資産価値が下がってしまっているマンションもあるのです。
マンションの管理状態は、はたから見ると分かりにくい部分が多く、それに気づかず買ってから後悔したと話す方も少なくありません。
そうした後悔をしないように表す格言が「マンションは管理を見て買え」なのです。
管理会社の良し悪しよりも管理組合の良し悪し
マンションの資産価値を左右するのは管理組合の姿勢ですが、まずは管理会社の意味と役割、管理組合との違いについてご説明します。
管理会社とは
管理会社は、そのマンションに住む方々が快適な暮らしを送れるようにサポートする会社で、主に事務系業務・管理系業務・清掃系業務・建物や設備の管理業務を柱としています。
たとえば、エレベーターの点検や電気設備の管理、マンション内の共用部の清掃などは管理会社の仕事です。
他にも、外部からマンションの住人を訪ねてきた方へ応対することも管理会社の業務の一環です。
友人や親戚が住むマンションを訪ねた時、エントランス脇の部屋にいる方と挨拶を交わした経験はありませんか?
その部屋の中にいる方が、管理会社のスタッフです。
管理組合とは
管理組合は、そのマンションに住む方々で組織して今後のマンション運営について方針を決める集団です。
たとえば、古くなったエレベーターをいつ交換するのかといった協議や、将来の大規模修繕に備えて徴収している修繕積立金の見直し協議などは、管理組合が行います。
なお、管理組合はマンションに住む全員が加盟する組織で、一部の方だけで構成されるものではありません。
一方、管理組合に加盟する方の中から選ばれた理事などの役職で構成するのが理事会です。
管理組合と理事会の意味を混同してしまう方は、ぜひこの機会に違いを覚えておきましょう。
管理会社と管理組合の関係
管理会社は、管理組合がマンション運営をスムーズに行えるよう補佐としてサポートする役割を担っています。
先ほど管理会社の業務内容として挙げた事務系業務には、マンションの住人から徴収した管理費や修繕積立金などの収支報告書の作成・提出、滞納の有無のチェックなどがあります。
また、マンションのことに関して住人全体で話し合う総会や、管理組合の理事同士で話し合う理事会の開催や運営のサポートも、管理会社の重要な仕事です。
マンションの資産価値を左右するのは住人の意識、すなわち管理組合であり、管理会社はあくまで管理組合から委託を受けて運営をサポートしているにすぎません。
もし管理組合が「違う管理会社に変えよう」と決めれば、現在委託中の管理会社は契約終了となります。
それほど管理組合はマンション運営に関して重要なポジションなので、ここがきちんと機能していなければ資産価値は下落する一方です。
そのためマンションを買う時は、管理会社の良し悪しより管理組合の良し悪しを調べる方が重要なのです。
管理会社にぼったくられる管理組合
管理組合が管理会社に委託する場合、管理業務の一部のみをお願いする一部委託と、全てをお願いする全部委託の2パターンがあります。
管理会社と契約しているマンションの多くは全部委託方式を採っているのですが、この場合は少し注意しなければなりません。
というのも、マンションの住人のほとんどはマンション運営や維持管理について詳しくなく、「管理会社に任せておけばいい」と考えるケースがあります。
管理会社のスタッフは不動産のプロですから、難しくてよく分からないマンション運営や管理をプロに任せておけば安心という気持ちは分かります。
しかし全てを管理会社任せにしてしまうと、ご自分が住むマンションの運営に関心が薄れ、なあなあになってしまうデメリットが生じます。
その意識はどんどん他の世帯にも広がり、やがて総会の開催回数が減って、マンションにとって重要な決議がなされない状態が続きます。
仮に総会を開催しても、管理会社が言うままに予算や収支の承認を行うくらいです。
そんな総会では住人の参加意欲も下がる一方で、総会出席率の低さが常態化しているマンションも珍しくありません。
そうしたマンションの管理組合は、悪質な管理会社にとって好都合です。
管理会社も自社の利益を上げなければ経営できないので、利益を追求するのは当然のことです。
そのため管理会社が報告する大規模修繕工事の見積書などの内容には、工事費の他にも施工業者の利益や管理会社の利益も上乗せされています。
しかし、管理組合が自分たちの住むマンションのことに関心が薄ければ、管理会社が作成・報告する大規模修繕工事にかかる施工内容や金額の正当性などを精査しようとしません。
なお、大規模修繕工事には住人が毎月平等に積み立てている修繕積立金から支払われますが、悪質な管理会社だと相場よりかなり高い価格で見積もっているケースもあります。
悪質な管理会社は必要以上に利益を上乗せする「ぼったくり」が横行していますが、マンション運営の関心が薄い管理組合はそのことに気づけません。
こうした悪質な管理会社は、大手だろうと中小だろうと関係なく存在します。
管理会社に全て委託することは間違いではないですが、それに安心して任せっきりになってしまうことはとても危険だということを覚えておいてください。
販売会社と管理会社が系列でないマンションは管理状態が良好な傾向に
では、悪質な管理会社に騙されず健全なマンション運営を行うには、どうしたらいいのでしょうか?
答えは「管理組合が当事者意識とコスト意識をしっかり持つこと」です。
管理組合の意味をご説明した時にも述べましたが、管理組合は一部の住人ではなく全住人で組織するものです。
せっかく購入したマンションの資産価値が下がることは、誰も望まないでしょう。
マンション運営は簡単なことではありませんが、「私がやらなくても誰かがやってくれる」と思わず、当事者意識を持つことが大切です。
委託している管理会社がきちんと対応しているか、収支報告書や大規模修繕工事の見積書の金額などに誤りがないか、修繕積立金は正当に使われているのかなど、コスト意識をしっかり持ちましょう。
また管理会社については、マンションの販売会社と管理会社が系列でないケースだと、管理状態が良好であることが多いです。
マンション販売会社と管理会社が系列でないと、お互いに忖度することがありません。
また管理会社は、管理組合の決議で委託先を変えることができるため、住人にとって最適な管理会社を選び直すケースもあります。
これは販売会社が決めた管理会社に任せきりにするのではなく、住人が協議の結果選んだ管理会社に委託することで、より健全なマンション運営ができている例です。
購入希望のマンションの管理会社を調べる際は、販売会社との関係性も調べてみると良いでしょう。
見た目で分かならい調査だからこそ、不動産業者の力を借りよう
マンション運営は管理組合だけで行うことが難しいため、プロのサポートが入ると安心です。
しかしそれゆえに、住人の当事者意識が低くなって管理組合がきちんと機能しないマンションは、住み心地も資産価値も下がる一方です。
管理組合と管理会社について調べることは、マンション購入で後悔しないために重要なポイントですが、個人ではなかなか調べられません。
そこで頼れるのが、不動産業者の担当者です。
マンションの取り扱い実績が豊富な担当者であれば、管理組合や管理会社についての調査も可能です。
管理会社任せにせずきちんと機能している管理組合があるマンション選びは、ぜひ業界歴約40年の弊社にご相談ください。