「家は年数が経つにつれて価値が下がるもの」
そのように考える方はいらっしゃいませんか?
確かに家は年数が経つにつれて少しずつ傷みが生じ、新築当時と比べると価値が下がります。
しかし今は、価値が下がりにくい中古マンションもあります。
今回は、なぜ価値が下がりにくい中古マンションが増えているのか、価値が下がりにくいと判断するポイントなどをご紹介します。
マンションに資産価値を求める人が増えてきている
ここ最近は、マンションに資産価値を求める方が増えてきています。
以前はマイホーム=終の棲家と考える方が多かったですが、ライフスタイルが多様化している現在では、購入したマンションを数年後、十数年後に売ったり貸したりするケースが増えました。
マンションを手放す理由は、家族が増える、子どもの成長、離婚、転勤、実家に戻って親と同居するなど人によって異なりますが、今の家に住み続けるには不都合なタイミングが訪れると新たな住まいを求める点は共通しているでしょう。
そしてマンションを売る、もしくは貸すとなると、当然ながら「買いたい」「借りたい」と思ってもらえるような物件でなければ、いつまでたってもマンションを手放せず持て余してしまいかねません。
その点、資産価値が高いマンションであれば、中古でも新たな買主や借主を見つけやすく、後の計画もスムーズに進めやすくなります。
そうした点を考える方が増えた結果、資産価値が下がりにくい中古マンションを求める方が増えているのです。
実際国土交通省がまとめた調査では、中古マンションの購入価格上昇率が新築マンション(分譲マンション)を上回っているというデータも報告されています。
【平成26年度と比較した場合の購入価格の上昇率】
- 新築マンション…25.9%
- 中古マンション…31.7%
参照元:国土交通省 平成30年度 住宅市場動向調査 ~調査結果の概要(抜粋)~
単純に購入価格だけを見ると当然ながら新築マンションの方が高いですが、上昇率は5.8%も差があり、それだけ中古マンションのニーズが高まっていることが読み取れるでしょう。
これからは価値を下げるマンションとそうでないものに分かれる
先述のように、中古マンションのニーズが高まっている時代だからこそ、今後のマンション市場は価値を下げる物件とそうでない物件に分かれることが予想されます。
いずれ手放す予定がある方もそうでない方も、せっかく購入するなら資産価値が下がりにくい中古マンションを選びたいですよね。
では、資産価値が下がりにくい中古マンションの具体的な特徴とは、いったいどういうポイントがあるのでしょうか?
価値が下がりにくい中古マンションの特徴は?
ここからは、価値が下がりにくい中古マンションの特徴として、下記の5つをご紹介します。
- 人口減少がすくない自治体
- 居住誘導区域内
- 駅から近い
- 管理組合の財務状況が健全
- 周辺に新築マンションがあまり建たない
人口減少がすくない自治体
最初の特徴は、人口減少が少ない自治体です。
2015年(平成27年)に行われた国勢調査で、日本の人口が調査開始以来初の減少を記録したというニュースを覚えている方もいらっしゃるでしょう。
それまでも将来的な人口減少が予測されていたものの、もっと先のことだと思われていた出来事が予想外に早く現実となった当時は、大きな話題となりました。
さらに2019年(令和元年)は、この1年間で生まれた赤ちゃんの数が初めて90万人を割り込み、日本全体で人口減少に拍車がかかっている状態です。
人口が減ると経済の動きが鈍くなり、やがて街が衰退してしまうため、安心・快適な暮らしを送りにくくなってしまいます。
しかし自治体別でみてみると、人口が減少に転じていないところもあるのです。
たとえば名古屋市は、1969年(昭和44年)に初めて市内の人口が200万人を突破して以降も順調に増え続け、2019年10月1日時点での人口は230万人を超えています。
ほかにも、東京都中央区や千代田区・港区など、大都市圏の自治体などで人口増加がみられます。
参照元:名古屋市統計年鑑 2-1.人口の推移(市制施行(明治22年)以降)
東洋経済オンライン この3年で「人口を増やした」自治体ランキング
一方で、一時は自治体消滅の危機まで指摘されていながら見事な復活を成し遂げたのが、東京都豊島区です。
豊島区は都内有数の繁華街としてにぎわう池袋を有する自治体ですが、2014年(平成26年)には少子化と人口減少によって自治体の存続が危ぶまれる「消滅可能性都市」として指摘されていました。
東京23区で唯一の指摘を受けた結果を重くみた豊島区は、将来も自治体の継続ができるよう持続発展都市を目指し、「女性にやさしいまちづくり」「高齢化への対応」など4つを掲げ、街の活性化に取り組みます。
こうして豊島区が主導して街の環境を改善した結果、2018年(平成30年)には40年ぶりに人口が29万人を突破しました。
中古マンションの資産価値は、マンションそのものだけでなく周辺環境も大いに影響します。
人が多く集まると経済が活発に動き、街の整備や開発にも力が入り、住み良い街が形成されるため、人口減少が少ない自治体をチェックすることは重要なポイントなのです。
居住誘導区域内
2つ目にご紹介するポイントは、居住誘導区域内であることです。
居住誘導区域とは、かんたんに言えば住宅を集めた区域のことです。
ちなみに、商業施設や医療施設などを集めた区域のことは都市機能誘導区域というので、併せて覚えておきましょう。
なぜ住宅とそれ以外の施設が集まる地域が区分されるかというと、住宅があちこちに建てられると、私たちの生活に欠かせない電気・水道・ガスなどのインフラをすべての住宅へ供給するために余分なコストがかかってしまいます。
そうなると自治体の財政が逼迫(ひっぱく)し、住民へ満足なサービスが届けられなくなるかもしれません。
そこで、街の中で住宅だけを集める区域とそれ以外の区域に分けることで、効率よくインフラを提供してコスト削減できるような施策を国が打ち立て、各自治体へ居住誘導区域と都市機能誘導区域を設けるよう求めているのです。
なお居住誘導区域外の家に対しては、居住誘導区域内と比べるとインフラ整備が十分にされない可能性が高く、それが理由で不動産の価値が下がってしまいます。
インフラは生活を左右する重要なポイントなので、中古マンションを購入する際は、ぜひ希望の物件が居住誘導区域内にあるかどうかを確認しましょう。
駅から近い
資産価値が下がりにくい中古マンションを見極める3つ目のポイントは、最寄り駅からの近さです。
通勤や休日のお出かけなど、毎日のように電車を利用する方にとっては、駅から近いマンションだとアクセスが楽ですよね。
急行や快速などの電車が停まったり、複数の路線が乗り入れたりする駅であれば、さらにアクセス性が向上します。
また、駅の周辺にはスーパーやコンビニ、商店街、銀行、病院など生活に欠かせない施設があります。
駅から近い中古マンションだと、交通利便性と生活利便性の両方が叶うため、資産価値があまり下がらないことに期待できるでしょう。
管理組合の財務状況が健全
4つ目の特徴は、管理組合の財務状況が健全であることです。
マンションには、各住戸の所有者全員で平等に負担する管理費と修繕積立金があります。
管理費は日常的に行うマンションの管理業務に対して使われる費用ですが、修繕積立金は共用部分で将来大きな修繕が必要になった時のために積み立てておく費用です。
しかし中古マンションの中には、修繕積立金が不足していて十分な修繕計画を実行できていないケースもあります。
修繕積立金が不足していることを理由に、必要な時期に必要な修繕が行われないマンションはどんどん劣化が進み、当然資産価値が下がります。
この修繕積立金の管理は、マンションの住人同士で組織する管理組合が行いますが、ここがうまく機能していないと財務状況が分からず、資産価値が下がりやすい中古マンションを購入することになるかもしれません。
そのため中古マンションを購入する前には、そのマンションの管理組合と財務状況を必ず確認しましょう。
修繕積立金は適した金額が設定されているか、滞納者はいないか(いる場合は対処方法も)、収支はきちんと記録されているかなどを見れば、財務状況が健全かどうか判断できます。
周辺に新築マンションがあまり建たない
最後の特徴は、周辺に新築マンションがあまり建たないかどうかです。
たとえば、あなたが気に入った中古マンションの周辺に空き地が多かったとしましょう。
購入当初は、周辺に高い建物がなくて見晴らしが良く快適な暮らしを送れていたはずが、数年後に超高層の新築マンションが家のすぐ近くに建つと、それまで楽しんでいた景色が見られなくなります。
しかも景色が見えなくなるだけでなく日当たりも遮られてしまうため、晴れた昼間でも電気を点けないと室内が暗いままで過ごさなければなりません。
日当たりもマンションの資産価値を左右するポイントなので、中古マンションを選ぶ際は、近隣にまだ新築マンションが建ちそうな土地がある物件より、既に完成済みのマンションや建物が多い物件を選びましょう。
また周辺に新築が多いと、将来売りに出すときにそれだけライバルが増えるということになるので、そういった面からも資産価値にとってはマイナスと言えます。
新築マンションは最も価値が下がりやすい
ところであなたは、新築マンションと中古マンションだと、新築マンションの方が価値が下がりやすいことをご存知でしょうか?
新築マンションは物件価格に加え、広告宣伝費やモデルルームの運用費など、新築マンションを販売する際にかかる諸経費が上乗せされます。
どれだけ上乗せされているかは物件によって異なりますが、一度購入するとその時点で新築ではなくなり、中古として売り出す際は新築時の諸経費分が差し引かれます。
この諸経費の金額が大きいほど、新築時の購入価格と中古として売り出す際の販売価格の差が広がる=値下がり幅が大きくなるのです。
「新築で買って数年で売りに出したら、予想以上に値下がりしていた」とショックを受けるケースは珍しくないので、このカラクリを覚えておくと良いでしょう。
不動産会社の助けを借りて価値の落ちにくい中古マンションを見極めよう
中古住宅市場が活発化している現代では、新築並かそれ以上に資産価値がある中古マンションを探すこともできるようになりました。
とはいえ、気になる中古マンションをすべて個人で調べて資産価値の下がりにくさを判断するのは、なかなか大変です。
そんな時は、中古マンションの売買に強い不動産会社に相談しましょう。
多くの中古マンションを取り扱う不動産のプロに相談することが、資産価値が下がりにくい中古マンションを見つける一番の近道です。
資産価値が大きく下がらない中古マンションで、ゆとりある生活を送りましょう。
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