あなたは、住宅ローンを借り入れてマイホームを買うなら、どこの銀行に申し込むかもう決めていますか?
都市銀行や地方銀行・信用金庫など住宅ローンを取り扱う機関は多々ありますが、最近はネット銀行で借り入れる方も見られるようになりました。
ネット銀行は、実店舗を持たずインターネット上で諸々の手続きを行うタイプの銀行で、有名なところだとソニー銀行やイオン銀行・住信SBIネット銀行・楽天銀行などがあります。
そんなネット銀行で住宅ローンを借り入れることには、どんな特徴や注意点があるのでしょうか?
金利が安いには訳がある
ネット銀行の特徴の一つに挙げられるのが、金利の安さです。
ネット銀行は都市銀行や地方銀行と比べて、金利が安いという話を聞いたことがある方も多いでしょう。
ネット銀行の金利が安い理由は、実店舗がない分運営に携わるスタッフの数を最小限に抑えられるため、実店舗を持つ都市銀行や地方銀行よりコストカットしやすいからです。
人件費や経費を削減できれば必要以上の利益を得ることもないため、金利を安くすることができるのがネット銀行の強みといえます。
ネット銀行の住宅ローンの注意点
金利の安さがとても魅力的なネット銀行の住宅ローンですが、その一方で借り入れ前にしっかり検討しなければいけない注意点もあります。
審査が厳しい
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の1つ目の注意点は、審査が厳しいことです。
なぜなら、ネット銀行の住宅ローンは都市銀行や地方銀行が利用するような保証会社との提携がないからです。
保証会社とは、住宅ローンの名義人が万が一返済できなくなった時に備えて、名義人に代わって残債を立て替えてもらうために銀行が提携している会社です。
※名義人は、保証会社に残債を立て替えてもらったら銀行への返済義務はなくなりますが、今度は保証会社への返済義務が発生します。
長期間にわたる返済期間中に、病気やケガ・家計の悪化などで突然住宅ローンが返済できなくなる可能性は誰にでもあります。
そうした不測の事態に備えて銀行を救済するのが保証会社ですが、提携しないネット銀行にとっては名義人が返済できなくなった場合は自行で負うしかなく、非常にリスクが高いです。
そのためネット銀行は、住宅ローンを申し込んだ方がより確実に完済できる方=自行がリスクを負わなくても大丈夫な方かどうかを見極めるために、都市銀行や地方銀行より審査を厳しくしているのです。
繰り上げ返済や、短期で売却する予定のある人は損するかも
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の2つ目の注意点は、繰り上げ返済や短期売却を予定している方は損をする可能性があることです。
損をするかどうかのポイントは、銀行の保証料と事務手数料です。
保証料とは、銀行が提携する保証会社に支払うお金のことで、都市銀行や地方銀行などの住宅ローンを利用する方はマイホーム購入時の諸費用に含まれます。
ただし、先述のようにネット銀行は提携する保証会社がないため、ネット銀行の住宅ローン利用者には保証料の支払いが発生しません。
そして事務手数料は、住宅ローンに関する手続きを行う際に銀行が受け取るものですが、これは都市銀行・地方銀行・ネット銀行のいずれでもかかります。
しかし、都市銀行や地方銀行などの住宅ローン事務手数料と比べると、ネット銀行は保証料がない分高めに設定されているケースがほとんどです。
保証料とほとんど同額の事務手数料を設定しているネット銀行もあります。
そして保証料は、繰り上げ返済をすると繰り上げた分に相当する金額は名義人に戻りますが、事務手数料は一切返金されません。
家を売る時に住宅ローンが残っていれば、完済して抵当権を外すことが条件となるため、短期で売却を検討している方も注意が必要なのはそのためです。
ネット銀行は借り入れ時の金利が安い点が魅力ですが、繰り上げ返済や短期売却をすると実質金利で考えた時に高くなってしまうこともあるので、覚えておきましょう。
住宅ローン事務手数料と保証料の違いについては、簡潔にまとめた下記の表もご参照ください。
住宅ローン事務手数料/繰り上げ返済時の返金有無 | 保証料/繰り上げ返済時の返金有無 | |
都市銀行や地方銀行など | 数万円/返金なし | 数十万~100万円くらい/繰り上げ返済相当分のみあり |
ネット銀行 | 数十万~100万くらい/返金なし | なし/なし |
審査に時間がかかる
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の3つ目の注意点は、審査に時間がかかることです。
事前審査時はネットで行うため割とスピーディーですが、その後の本審査はかなり時間を要します。
本審査は、ネット銀行の運営元へ書類を送ってからの審査となるため、審査期間に加えて郵送中および審査終了後の結果が手元に届くまでのタイムラグも考慮しなければいけません。
またネット銀行は最小限の人数で運営していることもあり、審査をするスタッフの数も実店舗ありの銀行と比べて少ないことも、審査に時間を要する理由と考えられます。
売主が早期売却を希望している場合、審査に時間がかかるネット銀行の住宅ローンを利用できないケースもあるのでご注意ください。
書類の不備が発生しやすい
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の4つ目の注意点は、書類の不備が発生しやすいことです。
ネット銀行は基本的に手続きをネット上で済ませますが、時には書類の郵送が必要となります。
そのため、必要書類のチェックが漏れやすく不備が発生しやすいデメリットがあります。
実店舗で手続きをする都市銀行や地方銀行などは、窓口で直接担当者にチェックしてもらい、不備が見つかってもその場で修正しやすく審査開始までの手間があまりかかりません。
しかし、対面で手続きを行わないネット銀行だと書類に不備があってもすぐに対処できず、書類を完璧な状態にするまでに時間がかかります。
書類の不備が解消されない限りは審査もできないため、マイホーム購入のスケジュールがずれ込む可能性があることにご注意ください。
事前審査の精度が低い
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の5つ目の注意点は、事前審査の精度が低いことです。
都市銀行や地方銀行などでは、住宅ローンの事前審査時に申込者の個人信用情報を調べ、借り入れ状況や滞納履歴などを調査します。
この時、銀行が閲覧するのが個人信用情報機関で、ここに記録されている情報は事前審査でも重要度が高い項目です。
一方、ネット銀行の場合は個人信用情報機関の記録を確認せず、書類上の返済比率のみで審査するケースもあります。
個人信用情報で何らかの心配がある方にとっては、事前審査のハードルが下がって安心かもしれません。
しかし1つ目の注意点でも挙げたように、ネット銀行は保証会社と提携していない分本審査が厳しいため、そこで落とされてしまうことは十分ありえます。
不動産の売買契約は、事前審査の結果が分かってから締結して本審査に進むのが一般的なので、せっかく契約を結んだのに本審査で落とされて契約解除になる可能性があることを忘れないでください。
旧耐震物件など特殊なケースは受け付けられない
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の6つ目の注意点は、旧耐震制度に該当する物件など特殊なケースの住宅ローンは受け付けてもらえないことです。
旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日まで施行されていたもので、今の耐震基準(新耐震基準)より揺れに対する建物の強度が弱いです。
旧耐震基準の建物以外だと、再建築不可物件などが特殊なケースに当てはまります。
こうした物件は、融資をする側からは担保価値がないとみなされるため、住宅ローンの申し込みを断られてしまうのです。
中古住宅を購入希望の方でネット銀行の住宅ローンに申し込む予定の方は、欲しい物件が融資対象外に該当しないかどうか事前に確認しましょう。
つなぎ融資が利用できない
ネット銀行の住宅ローンを利用する際の7つ目の注意点は、つなぎ融資が利用できないことです。
これは、住宅ローンの融資実行のタイミングが「物件完成後の引き渡し時」であることに関係しています。
分譲戸建てやマンションを買う場合は、不動産事業者が建築中の段階で売買契約を結び、物件が完成して引き渡しを受けるタイミングで融資を受けるだけなので、あまり手間はかかりません。
しかし注文住宅の場合は、工事開始時(着工時)・上棟時・工事完了時(竣工時)など、いくつかの段階に分けて費用を支払います。
着工時や上棟時は建物が未完成の段階ですし、竣工時はあくまで物件が完成しただけで引き渡しはもう少し先になるため、「住宅ローンの融資は物件引き渡し時」のタイミングとは異なります。
そのため注文住宅購入者は、住宅ローンの融資を受けるまでに支払うための費用を別途用意しなければならないのですが、その分の金額を全て自己資金で賄うことはなかなか難しいでしょう。
そこで役立つのがつなぎ融資なのですが、ネット銀行ではつなぎ融資の取り扱いをしていないケースが多いです。
金利だけでなく、審査面など含め総合的な判断を
金利は住宅ローン返済の負担を左右するポイントなので、安い方がいいものではありますが、そこだけを見てネット銀行の住宅ローンを選ぶことはおすすめできません。
審査面や繰り上げ返済などさまざまな注意点を含めて検討したうえで、ご自分にとってネット銀行の住宅ローンが合うのかどうかを判断しましょう。
そしてネット銀行の住宅ローンについて考えるなら、ぜひ弊社へご相談ください。
弊社では、約40年にわたり不動産業界で第一線で活動しており、住宅ローンの相談にも柔軟に応じることができます。
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