中古住宅を購入後、リフォームしてご自分や家族の好みに合う住まいを実現させることを計画している方も多いと思います。
中古住宅の購入費用、リフォームにかかる費用ともに多額のお金が必要ですが、その際に利用できるのが、リフォーム費用を住宅ローンに組み込む方法と、住宅ローンとは別にリフォーム費用を借りる方法です。
この2つの方法のメリット・デメリットを知ることで、ご自分にとって適した中古住宅購入とリフォーム実施の計画が立てられるでしょう。
中古住宅とリフォームはほぼセット
中古住宅の購入を検討する方の多くは、購入後のリフォームまでを視野に入れて物件探しをしているケースが多いです。
以前は新築住宅にこだわり、中古住宅は敬遠される方も多くいらっしゃいました。
しかし、国や各自治体が既存住宅の活用などを推進する動きが広がっている今では、中古住宅の購入を前向きに検討する方が増えています。
実際、国土交通省が行った調査でも、中古住宅を購入した方に新築ではなく中古を選んだ理由について質問したところ、回答が多かった理由の上位3つは下記のようになりました。
1位:予算的にみて中古住宅が手頃だったから…66.6%
2位:新築住宅にこだわらなかったから…40.0%
3位:リフォームによって快適に住めると思ったから…29.3%
※参照元:国土交通省住宅局 平成30年度住宅市場動向調査~調査結果の概要~
(中古戸建て住宅を購入した世帯の回答を参照)
そしてこの調査では、中古住宅を買ってから何らかのリフォームを実施した方の割合も示されています。
最も多かったリフォームの内容は、住宅内の設備の改善・変更が38.9%で、次いで内装の模様替えなどが32.4%、住宅外の改善・変更が31.3%、冷暖房設備等の変更が28.0%と続いています。
リフォームの程度は人それぞれですが、やはり多くの方が中古住宅を買ってから何かしら手を加えていることから、中古住宅購入とリフォームはほぼセットといっても過言ではありません。
リフォーム費用を住宅ローンに組み込むメリット・デメリット
冒頭でも述べたように、中古住宅を買ってからリフォームをするなら、住宅ローンにリフォーム費用を組み込む方法と別々にローンを借りる方法があります。
まずは、リフォーム費用を住宅ローンに組み込むメリットとデメリットをご紹介しましょう。
メリット
返済期間を長く設定できる
リフォーム費用を住宅ローンに組み込む一番のメリットは、返済期間を長く設定できることでしょう。
リフォームローンのみを借りる場合は、住宅ローンより返済期間が短く設定されることが一般的で、長くても15年くらいまでしか延ばせません。
しかし住宅ローンは、返済期間を30年や35年などの長期間で設定でき、リフォーム用のローン返済期間もそれに合わせて決められます。
仮にリフォーム費用として500万円が必要だとすると、15年かけて返済するのと30年かけて返済するのとでは、毎月の負担が大きく違います。
低金利で融資を受けられる
リフォーム費用を住宅ローンに組み込むと、金利も住宅ローン借入時の利率が適用されるので、低金利でリフォーム費用も融資を受けられる点もメリットです。
借入可能額が高い
中古住宅購入とリフォームを併せた金額の融資を受けるため、銀行が設定している融資の上限額が高く設定されている点もメリットです。
上限額は銀行によって異なりますが、だいたい1億円くらいまで融資可能としているところが多いです。
なお、リフォーム費用を住宅ローンに組み込んで中古住宅を買う場合は、リフォーム工事を行うタイミングに気をつけましょう。
なぜなら、銀行がリフォーム費用も含めて住宅ローン費用を融資する条件として、「物件の引き渡し時までに工事が完了していること、もしくはリフォームにかかる工事費が確定していること」があるからです。
このことを知らず、買いたい中古住宅を見つけてから融資を受けて購入し、それからリフォーム工事の詳細を詰めようと考えていると融資を受けられず、計画を変更せざるを得ないかもしれません。
そのためリフォーム費用と住宅ローンをまとめて借りたい方は、買いたいと思う中古住宅が見つかった時点で、不動産エージェント・銀行・リフォーム事業者との段取りを同時に進めます。
いずれまたリフォームが必要になる
リフォーム費用を住宅ローンに組み込む方法のデメリットは、返済期間中に再度リフォームが必要になる可能性があることです。
設備も家と同じく、年数が経つにつれて消耗して壊れたり破損・汚損したりしますが、消耗期間はものによって異なります。
たとえば、返済期間を30年に設定して住宅ローンとリフォームローンをまとめて借りたのに、返済が始まって15年経った頃に設備が壊れてしまい、新たなリフォーム費用が必要になるケースもあります。
そのため、リフォーム費用を住宅ローンに組み込んで中古住宅を購入する際は、まだ返済が終わっていないのに不具合が生じ、再びリフォームを行うための費用が追加で借り入れなければならない可能性があることを覚えておきましょう。
なお、中古住宅の主な設備のリフォームが必要になる時期の目安は以下のとおりです。
【キッチン周り】
- ガスコンロ、IHクッキングヒーター…10~15年
- レンジフード、食洗機、水栓、排水管…10年
- シンク…10~20年
【トイレ】
- 本体…10~20年
- タンク内の部品…7~10年
【バスルーム】
- ユニットバス…15年
- コーキング(浴槽と壁の隙間や、壁と壁の隙間を埋めるためのゴム状のパッキン)…10年
【家の外】
- 外壁塗装、雨どい…10年
- 屋根の葺き替え…20年
設備の傷み具合によっては、上記の目安年数より前に再度リフォームが必要になる可能性もあります。
ほかにも、住宅ローンにリフォーム費用を組み込んだ分、住宅ローン単体で申し込むより借入額が高くなるため、銀行の審査がより厳しくなる点にもご注意ください。
リフォーム費用をリフォームローンで借りるメリット・デメリット
続いては、リフォーム費用を住宅ローンに組み込まず、単体で借りる方法に関するメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
ローンの返済が終わる時期と設備の交換時期がほぼ同じ
先ほど述べたように、リフォームローンを単体で借りる際の返済期間は、長くても15年くらいです。
しかしこれは、再度設備の交換やリフォームが必要なタイミングで返済が終わるので、二重でリフォームローンの返済をしなくて良いのです。
設備交換をするために新しくリフォームローンを申し込む際、前のローンの返済が終わっていると安心して借り入れることができるでしょう。
銀行の審査に時間がかからない
リフォームローンは、住宅ローンと併せて借りるより融資額が低いため、銀行の審査もあまり時間がかからず借りやすいというメリットもあります。
デメリット
金利が高く、返済開始当初の負担が大きい
リフォームローンのデメリットは、返済期間が住宅ローンより短いだけでなく、金利も高めに設定されていて、返済開始当初の負担が大きくなる点があります。
特にリフォームローンの金利は、変動型や固定期間選択型など経済の動きに合わせて金利が変わるタイプが基本なので、利率が高くなればその分返済額も増えます。
増えた金利がわずか数%だとしても、トータルの返済額を考えると決して負担は軽くありません。
融資額が少ない
リフォームローンの融資額は、上限が500万円~1,000万円くらいで設定されていることが多いです。
そのため、希望するリフォームの内容次第では予算不足になってしまうでしょう。
メリット・デメリットを考えて判断
中古住宅の購入とリフォームがほぼセットとなっている今は、中古住宅を買うことだけでなくリフォームのことも考えて資金計画を立てることが重要です。
ローンを借りる際も、住宅ローンにリフォーム費用を組み込んだ方が良いのか、それとも別々に借り入れた方が良いかはケースバイケースなので、メリット・デメリットをしっかり考えて判断しなければなりません。
中古住宅を多く取り扱っていて実績豊富な不動産業者なら、どちらの方法でローンを申し込むのが良いかアドバイスをもらえるので、安心できる中古住宅購入を実現できます。
買ってから後悔しない中古住宅選びとリフォームを実現するためにも、ぜひ信頼できる不動産業者に相談しましょう。
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